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高山病の予防薬として有用なダイアモックス(アセタゾラミド)

マチュピチュ遺跡

標高2,000m以上の高地で酸素欠乏からくる頭痛、吐き気、全身の疲労感、脱力感、眩暈、食欲低下、睡眠障害などの諸症状の総称を「高山病」といいます。

高地では、気圧の低下とともに、大気中の酸素分圧の低下が起こります。富士山の山頂では、平地に比べて気圧は約2/3、酸素分圧も50mmHg台に下がり、動脈血中酸素飽和度も80%台まで低下します。このような環境下では、低圧に身体が晒されることによる臓器の浮腫が起こり、また、酸素分圧の低下により、臓器は低酸素状態になります。この二つが、高山病の主な原因とされています。

海外旅行でヘリコプターやロープウェー、登山バスを利用することにより、高地の遺跡巡りやトレッキングツアーが身近になった近年、高山病は決して登山者だけがかかる病気ではないのです。特にペルー(マチュピチュ遺跡)、スイス、南米、中国内陸部への旅行で高山病にかかる人が多くなっています。

時間をかけて高度を上げていったり、疲労を蓄積させないことが高山病の予防法として有効とされていますが、ツアー旅行ではスケジュールの関係もあるため、予防薬としてダイアモックス(アセタゾラミド)を使うことが勧められています。

ダイアモックスは、脳の血管を拡張することで血流を増加させ、脳の低酸素状態を改善すると同時に、呼吸中枢を刺激して、呼吸回数を増加させることで、血中酸素濃度を増加させる働きがあります。高山病の予防として使用する場合、高地に到着する前日から、到着3日後までの4日間、1回125mg(半錠)を1日2回服用するのが一般的です。

ダイアモックスの保険適応は緑内障、てんかん、メニエール病、睡眠時無呼吸症候群などですので、高山病予防として使用する場合には、保険が効かずに自費診療となります。診察と処方の両方で3,000円程度を提示する医療機関が多いようです。

ダイアモックスには、痺れを中心とした四肢の知覚異常が患者さんの25%以上にみられるとされていますので、医師、薬剤師の説明をよく聞くようにしましょう。また、アルコールは、眩暈や立ちくらみを起こしやすくするので、ダイアモックスを処方されたら、お酒を控えるようにしましょう。

 
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