下痢になる前に乳酸菌入りの整腸剤を服用するなどの対策が必要
海外旅行中の健康トラブルとして風邪と並んで多いのが「下痢」です。一口に下痢といっても原因は様々ですが、東南アジア・インド・中南米の旅行者に多いのが、水や食べ物を介して病原性大腸菌などに感染するケースです。
現地で生活する人と同じ食べ物を食べて何故旅行者だけが下痢をするのかと疑問に思うかもしれません。それは国の隅々まで公衆衛生が行き届いている日本で暮らしている私たちは、これらの細菌に対する抵抗力がないためです。
感性性の下痢は、食べ物や水を介して感染するので、上記の地域へ旅行する際には、特に食事と水に注意しなければなりません。飲み水はペットボトルのものを買って飲むのは勿論、歯磨きやうがいの際にもペットボトルのものか、一度沸騰させて殺菌した水道水を使います。
レストランなどで外食する際も注意が必要です。水そのものはペットボトルのものでも、中に入っている氷が水道水から作ったものだと、生水を飲んでいるのと同じことになるからです。生物を使った料理も避けるほうが無難です。生野菜やフルーツも生水で洗っていたら、これが原因で下痢になる人もいます。
感染性に続いて下痢の原因となるのは、食べ物や水の変化です。食生活の欧米化が言われていますが、日本人の食事はまだまだ脂肪分が少なく、淡白です。特に高齢者の場合はその傾向があてはまります。しかし、欧米や中国に旅行すると脂っこい料理を多く口にすることになります。油脂の摂りすぎは腸を刺激して下剤のような役目をするので、下痢をしやすくなるのです。またジュースに入っている果糖、コーヒーに含まれているカフェイン、アジア諸国の料理に多く使われる香辛料も蹴りを引き起こしやすいので、量を控えるか、避けるのが賢明です。
ヨーロッパでは日本との水の違いで下痢がおきることもあります。これは冒頭で触れた東南アジア諸国での感染性とは全く別なもので、その原因は水の「硬質」にあります。日本の水は「軟水」ですが、ヨーロッパの水は「硬水」のため、そこに含まれているマグネシウムが下痢を促すのです。
旅に出たら下痢になる前に、悪い菌の増殖を抑え、弱った胃腸の働きを助ける作用がある乳酸菌の入った整腸剤を飲んで予防するとよいでしょう。予防のために飲む場合は、下痢になってから飲む量の半分程度が適量とされています。旅行先のホテルの朝食はビュッフェスタイルのところが多いですが、その場合大抵ヨーグルトが用意されているので、毎朝ヨーグルトを食べるのもお腹の調子を整えるのに有用です。
仮に下痢になってしまった場合、直ぐに下痢止めを飲むのはNGです。下痢は、消化器に入った割物を腸が感知して、体外に排出しようという体の拒否反応です。蹴りをして直ぐに下痢止めを飲むと、悪いものが町内に残り、逆に繁殖してしまうことになります。これでは症状が酷くなったり、発熱を起こしたり、逆効果になってしまいます。下痢が始まったら1〜2日くらいは我慢して、3日目くらいから服用するのが正しい使い方です。
水分を摂取すると下痢になると思っている人は少なくありませんが、これは間違いです。下痢のときに水分をとらないで射ると、脱水症状を招く恐れがあるので、水分と塩分は必ず補うようにします。とくに高齢者は下痢による脱水が引き金になって、血液の濃度が濃くなりすぎて、血液が固まりやすくなり、脳卒中や心筋梗塞の引き金になるケースもあります。水分と塩分を効率的に補給するには、スポーツドリンクがよいでしょう。スティックタイプ(粉末)のものは、旅行先にも持ち運びが便利で重宝します。
便秘解消のポイントは常用薬の持参、水分、食物繊維の摂取
海外の旅行先で刺激の強い食べ物や脂っこい食べ物を摂ることで下痢になる方は少なくありませんが、下痢とは反対に便秘になる方も大勢います。
特にストレスが元で便秘になる人は、旅行中も便秘になりやすい傾向にありますので注意が必要です。飛行機やバスなどによる長時間の移動は、トイレに行くタイミングを逃して、便秘が悪化することもあります。
ストレスで便秘になるのは、腸管の痙攣に原因があると考えられています。ストレスで大腸の痙攣が起きると、便が大腸の中を進んでいかずに停滞してしまい、その間に腸管内容物の水分が吸収されてしまい、便秘になるというわけです。ストレス性の便秘になるとそれ自体がストレスになり、さらに便秘が悪化するという悪循環に陥る可能性もあります。
ストレスで便秘になりやすい人は、準備段階、旅先でのストレスを減らすことが大切ですが、水分や食物繊維を摂るなど通常の便秘対策と同様に対処を行うことも重要です。飛行機やバスでの移動中、特に窓際の席の場合は隣の人への遠慮もあり、トイレで頻繁に席にたたないように水分摂取を控える人もいますが、これは便秘の原因になります。水分摂取はまめに行う必要があります。移動の際の座席予約は通路側を選んでおけば、水分摂取もしやすく、ストレスもかからないでしょう。
食物繊維は野菜で摂るのは勿論、主成分とした身体に優しい便秘薬も市販されていますので、旅行に出発する前に一度試しておくのもよいでしょう。よかったらそれを持参しましょう。海外の便秘薬は日本人に適した量ではないことが多いため、お勧めできません。またヨーグルトなど乳酸菌を含むものを摂取することで、便秘の解消に役立つこともあります。