アメリカで12時間前後、ヨーロッパで7〜9時間の時差があるため症状が深刻
日本と経度が近い国(オーストラリアやニュージーランド中国、韓国など)への旅行ではたいしたことありませんが、アメリカやヨーロッパなど経度が大きく違う国への旅行の際にだれもが悩まされるのが「時差ぼけ」です。
私たちの体の中には、天文の時間とは関係なく、睡眠・覚醒のリズム、脳や内臓などの深部体温のリズム、睡眠・覚醒のサイクルを調整するホルモンの分泌リズムなどをコントロールしている「体内時計」が備わっています。
長い距離を旅行すると、この「体内時計」と「天文の時間」の間にズレが生じるため、旅行先の時間に体が適応することができ睡眠障害や倦怠感、注意散漫などの症状が現れるのです。高齢者ほど時差ぼけが強く、回復にも時間がかかるとされています。
時差ぼけは生命を左右する深刻のものではありませんが、体調不良でせっかくの旅行が楽しめないのでは非常にもったいないことです。体内時計が現地の時間帯に適応し、日本にいるのと同じ生活リズムになるためには、それなりの日数がかかります。
例えば時差が12時間程度違うアメリカへの旅行では、若い人でも1週間、高齢者で10日前後必要と言われています。したがって、短期間の旅行で時差ぼけを完全になくすることはまず無理ということになりますので、時差ぼけの程度をいかに軽減するかを考えることが唯一できる対策となります。
旅行の数日前の睡眠時間が不足していると、時差ぼけの症状が強くなる傾向がありますので、睡眠を十分にとることが重要です。旅行の数日前から、就寝時間を普段よりも2〜3時間ずらすのも効果があります。例えば、目的地がアメリカの場合は、早寝・早起き型に時間をずらし、ヨーロッパに行く場合には、夜更かし・朝寝坊型に時間をずらします。
つまり、アメリカなど東へ向かうたびの場合、就寝・起床時間を早めにずらすことで、体内時計を先に進ませて、少しでも現地の生活習慣に体がなれるようにするわけです。ヨーロッパなど西へ向かう場合は、この逆で就寝・起床時間を遅らせます。
起床直後の全身日光浴も効果が期待できます。体内時計は光の影響を受けます。起床直後に30分程度の日光浴をすることで、体内時計を朝にセットすることができます。旅行先でも同様にすることで、脳内に「今は朝だぞ!活動を開始する時間だぞ!」というメッセージを送ることになり、体内時計を少しずつ調整することができます。現地でも毎日続けることがポイントです。
また、ビタミンB12には、光に対する人体の感度を上昇させる働きがあるため、日光浴と合わせてビタミンB12のサプリメントを飲むことも体内時計の調整に一役買ってくれます。
日本とアメリカやヨーロッパとの時差は7〜12時間程度ですので、ほぼ昼夜が逆転することになります。したがって、現地に昼間に到着しても眠い、夜に到着しているのに頭が冴えて眠れそうにないという状態になるのは、人間の体にとって自然なことです。
しかし、日中に到着して眠かったとしても可能な限り現地の時間に合わせて、なるべく日光に当たることが大切です。30分程度の昼寝くらいなら問題ありませんが、それ以上眠ると夜に眠れなくなり、体内時計の調整が全く働かなくなってしまいます。