ツアーナースとして1年間通じて働くのは難しいため、派遣会社に登録するのが一般的
近年、看護師の資格が求められる職場は従来の病院やクリニックだけではなく、治験関連や保育園、美容外科、介護関連施設など幅広い分野で求められるようになりました。そんななか注目されているお仕事のひとつとして、ツアーナース(旅行付添看護師)が挙げられます。
お仕事の内容は、小・中・高校の修学旅行や夏季の林間学校などの野外教室、あるいは企業の宿泊イベント、旅行会社が企画したパッケージツアーなどに付き添って、参加者の健康管理や体調を崩した場合にそのケアを行います。
高齢者を対象としたツアーや小さいお子さんを対象とした自然教室など、参加者の健康管理が求められるイベントが増えている昨今、ツアーナースの需要も拡大しています。
旅行=楽しいというイメージが先行しますが、それはあくまでも参加者としての立場で見た場合です。看護師の仕事としての側面から旅行を見てみると、突然の発熱や腹痛、熱射病など旅行者が体調不良を訴えた場合、医師の指示を仰ぐことなく、看護師自らが症状を見極めて速やかに対応をすることが求められますので、その責任は大きいものになります。
特に小・中学生の修学旅行の場合は、慣れない飛行機や長距離バスなどで乗り物酔いをしたり、クラスメイト達と夜遅くまではしゃいだりして、翌日疲れが取れないままダウンすることがよくありますし、高齢者が参加するツアーの場合は、年齢からいって何かしらの持病を抱えているのが当たり前なので、想像する以上に気を使うお仕事といえるでしょう。病院で働く看護師とは働く環境は違いますが、健康状態に十分配慮してケアを行うという意味では、病院勤務をしている看護師と求められるものは同じであるといえます。
このお仕事に応募する際に特別な資格が求められることはありませんが、正社員(常勤)として、企業や学校の海外研修、視察、旅行の添乗などのお仕事を年間通じてできるのは、経験豊富かつコネクションもある方に限られています。
通常は看護師専門の派遣会社に登録して、そこから自分にあった求人に応募するのが一般的な働き方です。旅行にはオフシーズンがありますので、修学旅行等が多い春や秋に集中的に働いて、それ以外の求人が少ない時期には、健診のアルバイトや短期間のお仕事、病院やクリニックで非常勤として働いている方も多いようです。
全国の名所を訪れることができ、子供との触れ合う機会が多いのが魅力
お仕事をするうえでの魅力は個人によって差はあると思います。それでも、まず挙げられるのが、一つの職場ではなく仕事のたびに色々な場所へ行くことができるということではないでしょうか?
小・中・高校の修学旅行では広島や京都の定番観光地をはじめ、日本全国を訪れることになりますし、夏季の野外授業では山、臨海学校などで生徒達の健康管理を行うことになります。
看護師の最も一般的な職場である病院やクリニックでは、同じ勤務地の屋内で一日の大半を過ごし、医師の指示に従って患者さんのケアを行うわけですから、苦痛を感じるまではなくとも、決して開放的な感じではないでしょう。
ツアーナースのお仕事も健康管理を行うという部分は病院やクリニック勤務と同じですし、決して楽なお仕事ではありませんが、室内よりも屋外で活動するほうが自分に向いているという方には、オススメです。
またお仕事の大半は小・中学校などの行事へ付き添うことになるため、子供好きの方、特にご自身も小学生以上のお子さんがいる方には、ご自身の子育ての経験をいかせるという意味で魅力的といえるでしょう。
思春期の子供はすんなりと心を開いてくれないこともしばしばありますが、修学旅行で歴史ある観光地を一緒に訪れたり、夏季の野外授業で川遊びや花火、バーベキューなどをして、泊りがけで子供たちと触れ合うことができます。
小学校と高校の修学旅行に添乗したツアーナースの体験談
小学校の2泊3日の修学旅行で紅葉の季節を迎えた京都に行きましたが、ホテルに入って1日目の夕食を終えた後、それまで元気だった女子児童が「お腹が急に痛くなってきた」と相当つらそうな表情で訴えてきました。
トイレは普通だということで、食事内容は関係なさそうですし、出発前の打ち合わせでアレルギー症状があると報告を受けていた生徒ではなかったので、何かほかに原因があると思いました。
とりあえず、腹部の触診をしたところ、腹部の右側が特に痛みを感じるとのこと。患部を手で軽く押して、離してみると、圧したときよりも手を放したときの方が痛みの度合いが大きいと言われました。
これは急性虫垂炎が疑われるケースですので、ホテルから近い病院へ電話して夜間受診のお願いをし、同行しました。受診の結果、やはり虫垂炎でしたので、自宅から遠くはなれた旅行先での入院では不安も大きいだろうと考え、両親に迎えに来てもらったうえで、自宅近くの病院に転院し、そのまま入院できるように手続きをお願いしました。
私立高校の修学旅行に添乗してシドニー(オーストラリア)に行くことになりましたが、長時間のフライトが始めての生徒が多かったため、出発前から飛行機酔いに関する注意喚起は十分に行いました。
ただ、出発当日は悪天候であったため、離陸から間もなくして機体がかなり揺れ出しました。そのため、夕食時間になっても、機内食は出ないうえ、飛行機酔いで吐き気や頭痛を訴える生徒があちらこちらで出始め、その応対にてんてこ舞いでした。
機内には気分が悪くなった生徒を寝かせる分の座席が余っていなかったので、客室乗務員から毛布を借りて床に敷き、そこで生徒を休ませるなど、今までにない経験をしました。
幸い、夜の出発で自然と眠れる就寝時間が間に入ったため、翌朝の到着前にはほとんどの生徒が持ち直しました。私は初日から睡眠不足でヘトヘトになりましたが、無事に旅行を続けることができました。
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ツアーナースの主な仕事先である学校の修学旅行は春と秋、林間学校は夏季にピークとなるため、求人募集は盛んに行われていますが、オフシーズンとなる冬場は求人も少ないため、毎月安定して収入が見込めるわけではありません。
お仕事のある時期は短期間で集中的に働いて、オフシーズンは看護師の資格を活かした短期・単発のバイト(イベント待機、健診、巡回入浴など)や病院・クリニックで非常勤として働くのが一般的です。
そのため、このお仕事を希望する看護師のほとんどの方は、看護師に特化した人材紹介会社に登録をして、担当者からお仕事を紹介してもらったり、サイトの求人一覧から希望のお仕事を自分で選んで応募するという働き方をなさっています。
しかし、いざツアーナースの案件を取り扱っている人材紹介会社を探そうとしても、病院やクリニックのお仕事ばかりを扱った会社が多いため、意外に見つかりにくいものです。そんななかオススメしたいのが、ツアーナースの求人特集を掲載しているMCナースネットです。
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